溶連菌の治療を薬剤師が完全解説|第一選択薬・投与期間・合併症予防まで論文ベースで解説

病態

~前書き~
最近インフルエンザとともに溶連菌の患者様が増えているような気がします。抗生剤を10日服用することや、親へも感染するリスクがあることなど驚かれる方います。改めてまとめてみました。

溶連菌感染症とは?

溶連菌感染症は、3歳以上の幼児から学童の細菌性咽頭炎の主要起因菌です。
溶連菌性咽頭炎は小児の咽頭炎の15~30%を占め,細菌性咽頭炎の中で最も多く好発年齢は5~15歳です。季節性としては,例年冬~初夏に流行しやす。また、小児だけでなく成人にも頻繁にみられる感染症です。3歳未満の症例では典型的な咽頭炎はみられず原則として抗菌療法の対象外です。



原因菌:A群β溶血性連鎖球菌(Group A Streptococcus:GAS)
感染部位:咽頭、扁桃

本記事では、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の治療を論文ベースで完全解説します。


抗生剤の治療効果や服用期間

第一選択薬:ペニシリン系

代表薬:アモキシシリン、ペニシリンV
理由:溶連菌はペニシリン耐性を持たない
(βラクタマーゼを産生しない、かつPBP変異が起きていない)(Brook I. Clin Microbiol Rev. 2001)
→ペニシリンが現在でも100%近く有効

なぜ抗菌薬治療が必要なのか?

一般の風邪では抗菌薬の使用は推奨されていませんが、溶連菌ついては使用される理由が大きく3つあります。

① 症状改善の促進
→抗菌薬により症状期間は短縮されます。(IDSAガイドライン)
無治療:7日 治療あり:3〜4日

② 感染拡大防止
→抗菌薬開始後:24時間で感染性ほぼ消失

③ 合併症予防
→急性リウマチ熱、急性糸球体腎炎 特に急性リウマチ熱は心臓弁膜症の原因になる重篤疾患とも考えられるため注意が必要

投与期間は10日間

完全除菌に必要が高いため一般的な抗菌薬よりも長い10日間の使用が必用
短期間治療では:症状改善するが菌が残存するため、再発のリスクやリウマチ熱リスク増加する可能性が出てくることも考えられる(IDSA guideline 2012)


服用24時間後から感染力低下

抗菌薬内服後、24時間経過すれば感染力は低下し登校・出勤の目安になる

各抗菌薬の比較

薬剤推奨度理由
アモキシシリン第一選択
ペニシリンV第一選択
セフェム代替
マクロライド耐性あり

マクロライド耐性問題

日本の耐性率:約20〜40%(Ubukata K. J Infect Chemother)
つまり:クラリス・アジスロマイシンは第一選択としては選ばれない


溶連菌とウイルス性咽頭炎(風邪)の鑑別

項目溶連菌ウイルス
発熱高熱軽度
なしあり
鼻水なしあり
扁桃白苔ありなし
抗菌薬必要不要

溶連菌はどうやったらわかるのか

溶連菌は検査で分かる

急性咽頭炎の診断

1.スコアシステム
「溶連菌性咽頭炎らしさ」を判断するスコアシステムとして,Mclsaacスコアという基準があります。
・「38℃以上の発熱」
・「圧痛をともなう前頸部リンパ節腫脹」
・「滲出性扁桃炎」
・「咳嗽がない」
患者年齢が3~14歳の場合,上の3つ以上があれば溶連菌の可能性50%以上となり,これらが1つもなければ,溶連菌の可能性5~10%となります。

2.迅速抗原検査
 咽頭・扁桃ぬぐい液を使った有用性が高いPOCT検査で分かります(検査の感度は80~90%,特異度は95%以上)。特異度が高いため,症状・症候,年齢,Mclsaacスコアなどで検査前確率を高めた状態で陽性となれば溶連菌性咽頭炎と確定診断できます.

まとめ

子供の高熱を伴う喉の痛み、咳が出ない場合には溶連菌による症状かもしれません。一般的な風邪と違い、抗生剤の服用が推奨されます。治療機関の短縮や感染を広げないため、なにより合併症を未然に防ぐためにも放置しないことが大切です。処方された薬は症状が良くなってもしっかりと、10日間飲み切るようにしましょう。

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