ナウゼリン錠・ナウゼリン坐剤はなぜ調剤過誤を起こしやすいのか

薬剤師のつぶやき

多くの患者さんが経験する吐き気や嘔吐の症状に対して、ナウゼリンはその効果が広く認識されていますが、錠剤と坐剤では使用方法や用量において異なる点が存在します。主な適応症には、乗り物酔いや特定の病に関連した吐き気、さらには手術後の悪心などがあり、特に最近では、その効果が期待されるケースが増えています。このブログでは、ナウゼリンの基本的な用量設定や適応症、さらにはそれぞれの用量に対する注意点を詳しく分析し、なぜ用量調整が必要なのかを論文に基づいて解説していきます。


添付文書からみる使い方の違い

~坐薬~
〈ナウゼリン坐剤60成人用
効能:
○胃・十二指腸手術後
○抗悪性腫瘍剤投与時
用法・用量:1回60mgを1日2回

〈ナウゼリン坐剤10、ナウゼリン坐剤30小児用
効能:
○周期性嘔吐症、乳幼児下痢症、上気道感染症
○抗悪性腫瘍剤投与時
用法・用量:
[3才未満の場合] 通常ドンペリドンとして1回10mgを1日2~3回
[3才以上の場合] 通常ドンペリドンとして1回30mgを1日2~3回

~錠剤~
効能:
[成人]
○慢性胃炎、胃下垂症、胃切除後症候群
○抗悪性腫瘍剤またはレボドパ製剤投与時
用法用量:1回10mgを1日3回食前

[小児]
○周期性嘔吐症、上気道感染症
○抗悪性腫瘍剤投与時
用法用量:1日1.0~2.0mg/kgを1日3回食前
*1日投与量はドンペリドンとして30mgを超えないこと。
*6才以上の場合はドンペリドンとして1日最高用量は1.0mg/kgを限度とすること。


年齢・体重・投与経路で量や考え方が大きく変わる


薬物動態が坐剤と経口で大きく異なる理由

坐薬と内服での血中濃度の違い


〇ナウゼリンは経口投与した際も、坐薬として使用した際も血液中に移行するのはどちらも約13%で同じくらいです。

・ナウゼリン坐剤30mgを直腸内投与した場合の最高血中濃度は23.4ng/mL
・ナウゼリン錠10mgを経口投与した場合の最高血中濃度は11ng/mLと、
2倍量坐薬でも約2分の1の濃度にしかなりません。


なぜ経口投与の方が少量で効果があるのか

ナウゼリンの作用機序は、大きく2つ
〇脳に作用:化学受容器引金帯 (CTZ) に作用して、 嘔気嘔吐を抑える
〇末梢のドパミンD2受容体に直接作用 →胃と十二指腸の運動を亢進させる。

★経口剤→脳と消化管の両方に作用
★坐薬→脳に作用

結論:経口剤の方が消化管にも作用するためよりも少量で効果を発揮することができます。

経口剤の小児量が6歳で区切られている理由

小児には1日1.0~2.0mg/kgに対して「6才以上の場合は1日最高用量は1.0mg/kgを限度とすること。」と決められています。

乳幼児や小児は成人と比較して体の水分量が多くそのバランスが大事になってきます。
体内総水分量は成人体重の55%に対し乳幼児70~80%、
細胞外液量は成人が体重の20%に対し乳幼児40%
と細胞外液の割合が高くなります。

つまり成人と比較して生体内分布容積が大きくなります。 そのため成人と同じ薬物濃度を得る
には、 年齢が低い程体重換算での用量を高めに設定する必要があるからです。

結論:乳幼児は水分たっぷりだから用量の設定が必用

補足
6歳以上で肥満傾向にある小児では体重30kg以上になることも珍しくはなく、 用量を1.0~2.0
mg/kgとしてしまうと、 1日最大投与量が60mgを超えてしまいます。 これは、 成人で実施した臨
床試験結果で有意差が出なかった1日60mgを超える結果になり、 むしろ副作用の危険性が増すこ
とが考えられます。 さらに成人の1日量を考慮して、 小児に対する1日投与量の最高量は30mgとなっています。

終わりに

ナウゼリン坐剤と錠剤はその大きさを一概には比較できません。坐薬の方が少量で効果が発揮されるイメージを持たれる方も多いと思いますが、経口投与した方が胃や消化管に直接作用するため少量で効果がえられます。食前に服用した方がより効果的であることと少し理由が似ていますね。

体の水分バランスから適切な血中濃度に持っていくためには6歳未満は1日1~2mg/kgと多めの用量が設定されています。しかし、6歳以上では上限がしっかりと定められてくるので医療関係者の方も含めて取り扱いには注意が必要です。

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