抑肝散が「どのような人に最も効果的か」を、他の代表的な漢方(加味逍遙散:24・半夏厚朴湯:16・柴胡加竜骨牡蛎湯:12・桂枝加竜骨牡蛎湯:26 など)と比較しながら、薬剤師視点で比較していきます。
結論の要約と全体像
抑肝散が最も効果的なのは:
〇「脳が過敏」「興奮しやすい」「怒り・易刺激性・幻覚・不穏が前景」
〇 特に高齢者・小児・ストレス脆弱者
〇 身体症状より“中枢神経症状”が主訴の人
👉 他の漢方よりも「中枢神経の興奮制御」に特化している点が最大の特徴です。
中核キーワード
- 易怒性(怒りっぽい)
- 興奮・焦燥
- 幻覚・幻視
- 神経過敏
- 睡眠中の異常行動
抑肝散が最適な具体例
| 患者像 | 理由 |
|---|---|
| 認知症BPSD(怒り・幻視・攻撃性) | 臨床研究が最も多い |
| 小児の夜泣き・チック | 神経過敏への鎮静 |
| 不眠+イライラ | 睡眠薬的ではなく覚醒調整 |
| 抗精神病薬が使いにくい高齢者 | 錐体外路症状が少ない |
他の漢方との比較
抑肝散 vs 加味逍遙散
| 項目 | 抑肝散 | 加味逍遙散 |
|---|---|---|
| 主ターゲット | 脳の興奮 | 情緒+ホルモン |
| 向いている性格 | 怒りっぽい・攻撃的 | 不安・抑うつ・涙もろい |
| 年齢層 | 小児〜高齢者 | 成人女性が中心 |
| 論文領域 | 神経科学・BPSD | PMS・更年期 |
→怒り・幻覚 → 抑肝散
→ 不安・気分変動 → 加味逍遙散
抑肝散 vs 半夏厚朴湯
| 項目 | 抑肝散 | 半夏厚朴湯 |
|---|---|---|
| 精神症状 | 興奮・怒り | 不安・恐怖 |
| 身体症状 | 少なめ | 咽喉異物感・動悸 |
| 自律神経 | 中枢優位 | 末梢優位 |
→「喉が詰まる」「息苦しい不安」→ 半夏厚朴湯
→「イライラして爆発」→ 抑肝散
抑肝散 vs 柴胡加竜骨牡蛎湯
| 項目 | 抑肝散 | 柴胡加竜骨牡蛎湯 |
|---|---|---|
| 興奮の質 | 情動的 | 過緊張・不安定 |
| 体格 | 問わない | がっしり・実証 |
| 動悸・高血圧 | △ | ◎ |
→体力があり緊張型 → 柴胡加竜骨牡蛎湯
→体力不問・怒り主体 → 抑肝散
抑肝散 vs 桂枝加竜骨牡蛎湯
| 項目 | 抑肝散 | 桂枝加竜骨牡蛎湯 |
|---|---|---|
| 不安の質 | 外向き(怒り) | 内向き(不安・恐怖) |
| 夜間症状 | 夜間興奮 | 夢精・悪夢 |
| 体質 | 中間〜虚 | 虚証 |
→外に出るイライラ → 抑肝散
→内にこもる不安 → 桂枝加竜骨牡蛎湯
薬剤師が使える「見極めフレーズ」
患者さんがこう言ったら…
〇抑肝散が第一候補
- 「すぐカッとなる」
- 「家族に当たってしまう」
- 「夜になると落ち着かない」
- 「幻覚・幻視がある」
▲抑肝散が合いにくい
- 「冷えが強い」
- 「気分が沈むだけ」
- 「胃腸が弱いのが主」
なぜ抑肝散は“効く人には鋭く効く”のか
抑肝散は
✔ 抗うつ薬でも
✔ 抗不安薬でも
✔ 抗精神病薬でもない
→ 「神経興奮の暴走を元に戻す処方」
だから:
- 合う人 → 劇的に改善
- 合わない人 → 効果が薄い
という二極化が起こります。
薬剤師としての実践ポイント
- BPSD・小児・怒り主体なら第一選択
- 偽アルドステロン症は必ず頭に入れる
- 「不安」か「怒り」かを聞き分ける
- 効かなければ 加味逍遙散 or 半夏厚朴湯へスイッチ



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