【薬剤師解説】マイクロファインプラスとナノパスニードルの違い|処方箋調剤での正しい使い分け

薬剤師のつぶやき

はじめに

インスリンやGLP-1受容体作動薬の普及により、**ペン型注入器用の注射針(ペンニードル)**は処方箋調剤で日常的に扱う医療材料となりました。

中でも使用頻度が高いのが
マイクロファインプラス(BD社)と
ナノパスニードル(テルモ)です。

一見すると「どちらも細い針」で済まされがちですが、
実際には設計思想・痛み・注入のしやすさ・適する患者背景が異なります。

本記事では、薬剤師の専門的視点から両者の違いと調剤現場での使い分けを解説します。


マイクロファインプラスとは|特徴と強み

製品概要

  • 製造元:BD(Becton, Dickinson and Company)
  • 用途:インスリン・GLP-1皮下注射
  • ゲージ数:31G / 32G
  • 針長:4mm / 5mm / 6mm

技術的特徴

① トリプルベベルカット

  • 針先を三面研磨することで皮膚抵抗を低減
  • 刺入時の安定性が高い

② 薄肉加工(Thin Wall)

  • 外径を細くしつつ内径を確保
  • 注入圧が低く、押しやすい

③ 高い互換性

  • ほぼすべてのペン型注入器に適合
  • 処方変更時のトラブルが少ない

薬剤師的評価

  • 初回導入患者でも扱いやすい
  • 高齢者でも注入が安定
  • 医師・看護師からの信頼が厚く、“標準針”として最適

ナノパスニードルとは|特徴と強み

製品概要

  • 製造元:テルモ
  • ゲージ数:33G(世界最細クラス)
  • 針長:4mm / 5mm

技術的特徴

① 超微細33G針

  • 皮膚侵襲を極限まで低減
  • 疼痛スコアが非常に低い

② 独自の多段研磨技術

  • 皮膚を「切る」のではなく「すっと通す」感覚
  • 刺入時の引っかかりが少ない

③ 皮膚変形抑制設計

  • 皮膚を押しつぶしにくく、刺入時の違和感が少ない

薬剤師的評価

  • 注射痛に敏感な患者に非常に有効
  • 注射恐怖がある患者のアドヒアランス向上
  • 小児・痩せ型患者に適する

マイクロファインプラスとナノパスニードルの違い【比較表】

項目マイクロファインプラスナノパスニードル
ゲージ31–32G33G
痛み少ない非常に少ない
注入のしやすさ
汎用性非常に高い高い
価格標準やや高め
向いている患者一般成人・高齢者痛みに弱い・小児

論文から分かる「痛み」と針の関係

複数の研究により、以下が示されています。

  • 針径が細いほど疼痛スコアは低下
  • 31G → 32G → 33Gで有意差を認める報告あり
  • ただし疼痛は 針径+針先加工+表面コーティングの総合設計で決まる

また、33G針では

  • 粘稠度の高い製剤
  • 高用量注入において注入圧上昇の報告もあり、万能ではありません。

「最細=最適」とは限らないことが重要です。


処方箋調剤での正しい使い分け【薬剤師向け】

マイクロファインプラスを選ぶべきケース

  • 初回インスリン導入
  • 高齢者
  • 押しにくさの訴えがある
  • 汎用性・安定性を重視したい場合

ナノパスニードルを選ぶべきケース

  • 注射痛の訴えが強い
  • 注射恐怖がある
  • 痩せ型・小児
  • アドヒアランス不良の改善目的

服薬指導で必ず伝えるべき重要ポイント

針は毎回交換することが最も重要です

  • 針の再使用 → 先端変形
  • 痛み・皮下硬結・感染リスク増加
  • 「細い針でも再使用すると痛くなる」

    → 針は毎回、新しいものを使いましょう
  • 同じ針を使い続けると
  • 痛くなる
  • 皮膚が硬くなる
  • 感染の原因になる
  • どんなに細い針でも、使い回しはNGです。

針の種類よりも重要な指導ポイント


まとめ|薬剤師に求められる視点

  • マイクロファインプラス:
    安定性・汎用性・使いやすさ
  • ナノパスニードル:
    疼痛軽減・患者満足度

ペンニードル選択は単なる物品選択ではなく、
患者背景を考慮した薬学的介入の一部です。

薬剤師だからこそできる「一段深い提案」が、
注射治療の継続を支えます。

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